オリンピックがようやく終わった。私たち一般人は、「自宅でおとなしく、テレビでオリンピックを観戦すること」、一方、参加する選手や関係者は「できる限りの簡略版の規制」で乗り切った。このダブルスタンダードに対して、多くの批判が相次いだ。「無観客のはずなのに、競技場で観戦している人たちがいるのはなぜ?この人たちは何者?」と思った人は多いのではないか。また、マラソンを筆頭に、ほとんどの屋外の競技では、それらが見物できる場所に大勢の人が集まっている様子がテレビに映っていた。いくら屋外といえども、人と人との間がほぼ無い状態で、応援の掛け声をあちこちでかけている様子が伺えた。
オリンピックの期間は17日間であった。新型コロナウイルス感染後の潜伏期は平均で10日前後と言われているので、オリンピックが始まってから、新型コロナウイルスに感染した人はすでに発症し、回復に向かっている人もいるだろうが、今後まだまだ感染者が増え続けることが予想される。オリンピック期間中、政府はいわゆる「まん防」でやり過ごすつもりだったのだろう。「緊急事態宣言を出すような状況になれば直ちにオリンピックは中止します」と言って開催に突き進んだのであるが、予想に反して感染者数が増え続ける状況になりオリンピック開催を前に、東京はもちろん首都圏3県、大阪、沖縄に緊急事態宣言を発出せざるを得ない状況となった。これも、いつも通りの「想定外」ですまされてしまった。
今後、東京など首都圏の医療体制のひっ迫が気になるところである。確かに、高齢者を優先してワクチン接種を進めたおかげで、新型コロナで亡くなる人が予想以上に減っている。しかし、働き盛りの40代、50代の人たちの重症化が以前に比べると多くみられている。東京は、今後、重症患者の受け入れが可能かどうかが心配である。
大阪では、第4波の際には、感染者数に対して亡くなる人の数が尋常ではなかった。人口当たり死者数は驚くことに、インドの1.5倍という報道であった。また、入院できずに自宅で死亡した人は18人にもおよんでいた。毎日新聞の調査では第4波の3月1日~5月21日までの死者は、10万人あたり大阪が11.0人で、東京の4.6人の2倍以上であった。大阪のメディアはこの点をもっと重視し、行政側に改善を求めるべきであった。