麻しんウイルス感染に注意

ウイルス感染症

麻しんに関する記事は、これまでに本ブログで何回か載せてきた。

バムサジャーナルに掲載された総説の紹介ー麻しんと風しんの肺授与・根絶へ向けた世界と日本の現状と課題ー(2024.07.21)

バムサジャーナルに掲載された総説の紹介ー新型コロナ収束後の大流行が懸念される輸入感染症としてのはしかー(2024.07.21)

バムサジャーナルに掲載された総説の紹介ー日本の身近な感染症情報と対策ー(2024.07.21)

いずれも、新型コロナが収束し、人の動きが活発化することが予想される時期の懸念点として記事にしていた。特に、国際間でも海外へ出かける人、海外から日本をビジネスや観光で訪れる人たちが、いろいろな感染症、特に麻しん(はしか)ウイルスを持ち込む可能性があり、このウイルスは空気感染することで広がりやすいことが心配であった。新型コロナがほぼ収束状態になっても、心配したほどの流行は少なくとも日本では起こっていなかった。ところで、日本は2015年にWHOから「麻疹排除国」と認定されているが、毎年、数名の感染者が出現するのは海外からの持ち込み(輸入感染)の結果である。

ところが、久しぶりに麻しんの発生状況を確認したところ、2025年からかなりの数の感染者が出現していることを見て、「やっぱり」という気持ちである。

googleに「麻しん 累積 報告 数」と検索すると、「麻疹 発生動向調査」が出てくる。ここを開き、2026年第7週(’26/2/18現在)を開けると最近の状況が見えてくる。

2019年に744例で、その後は2024年まで少数であったが、2025年に265例と急激な伸びをしている。本年もすでに43例である。

2025年の国内麻疹の急増について、国立感染症研究所や最新の疫学報告では、次の点が明確になっています。

  • 輸入症例が主因(国際移動の再開による)
  • 特にベトナム経由の持ち込みが多い(2025年第44週時点:輸入関連78例のうち 56例がベトナム由来、その他、アジア各国からの持ち込みも散発的に発生

なぜベトナムからの流入が多いのか

ベトナムでは麻疹の流行が周期的に発生

  • ワクチン接種率が地域差により安定しない
  • 日本との往来が多い(技能実習生・観光・ビジネス)
  • 日本国内の若年成人(20〜30代)に“免疫ギャップ”がある → この世代はワクチン2回接種が徹底されていない時期がある。

麻しんのワクチンギャップとは:

過去のワクチン接種制度の変更や接種率の低下によって、当時、接種年齢であった小児の時の定期接種を受けないまま成人になった、特定の年齢層に麻しんの抗体(免疫)を持たない、または免疫が十分に持続していない人が多く存在する現象を指す。このため、麻しんが空気感染することで、感染しやすい性状も関係して、 海外から持ち込まれ → 若年成人を中心に国内で広がる という構造が起きている。

麻しん感染伝播の現状:

  • 都市部(東京・神奈川・大阪・兵庫)に集中
  • 空気感染するため、1人から12〜18人に広がる非常に強い感染力
  • 免疫が不十分な20〜30代が中心(“免疫ギャップ”)
  • 医療機関や学校での二次感染・三次感染が発生しやすい

2025年の患者の接種歴は:

  • 未接種:29%
  • 1回接種:17%
  • 2回接種:21%
  • 不明:33% (※成人の多くが「不明」または「1回のみ」)

子どもに感染者が少ない理由

  • 現在の日本では MRワクチン2回接種が定期化されており、接種率が高い
  • そのため、子どもの発症は比較的少ない
  • ただし 0歳児(接種前)はリスクが高い

成人中心の流行が起きると何が問題か

  • 成人は社会活動が活発で、職場・学校・公共交通機関で広がりやすい
  • 高熱・全身症状が強く、入院率が子どもより高い
  • 妊婦が感染すると重い合併症のリスク
  • 医療機関での二次感染が起きやすい

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