AMR問題とは:抗生物質が効かない薬剤耐性菌が増え、入所者の命に関わる深刻な感染症リスクが高まることです。主な課題は抗生物質の不適切な使用(風邪への処方など)、感染対策の徹底不足(手洗い、消毒、物品管理の甘さ)、そして医療機関との連携不足です。これにより施設内で耐性菌が定着・拡散し、治療困難な状況を招くため、抗生物質の適正使用と感染管理の強化が急務とされています。
1-1. まず押さえるべきAMRの本質
- AMRとは何か: 細菌が抗生物質に“慣れて効きにくくなる”現象で、 最終的には「効く薬がなくなる」
- 誰の問題か: 「医師や病院だけの問題」ではなく、 患者・家族・介護職員・施設職員・社会全体の抗生物質の使い方が積み重なった結果。
- なぜ今話題なのか: 新しい抗生物質の開発が追いつかず、 「いまある薬をいかに長く効かせ続けるか」が世界的な課題になっている。
1-2. 海外の“乱用”ストーリーをどう活かすか
- 規制がゆるく、コンビニや薬局で抗生物質が簡単に買える国がある
- 風邪や軽い下痢のたびに自己判断で抗生物質を飲む → 耐性菌を増やす。
- 畜産業での大量使用
- 家畜の成長促進や感染予防のために、えさに抗生物質を混ぜて継続投与。
- その結果、家畜由来の耐性菌が肉・環境・水を通じて人間社会に広がる。
- グローバル化で日本も無関係ではない
- 食品・人の移動で、海外で生まれた耐性菌が日本にも入ってくる。
- 抗生物質が効かない…流行している百日ぜきでも 薬剤耐性菌が拡大 サイレントパンデミック警戒 (産経新聞2026年7月17日)
- 高齢者(特に入院中)にAMRについて熟知してほしい
2-1. なぜ高齢者入院患者はAMRリスクが高いか
- 抗生物質を使う機会が多い
- 尿路感染症・肺炎・褥瘡感染など、感染症が起こりやすい。
- 免疫力が低く、重症化しやすい
- 同じ耐性菌でも、若い人より高齢者のほうが命に関わりやすい。
- 病院は耐性菌が集まりやすい場所
- 多くの患者に抗生物質が投与されるため、選択圧が強い。
2-2. 高齢者・家族に“必ず伝えたい”内容
- 「抗生物質は万能薬ではない」
- 風邪など、原因がウイルスの感染症には効かない。使っているとAMRを産み出すことになる。
- 処方された抗生物質は“指示どおり最後まで”
- 「良くなったからやめた」は、耐性菌を育てる原因になる。
- “抗生物質が効かない菌”に感染した時のイメージ
- 入院が長引く、強い薬が必要になる、副作用のリスクも増える、といった“現実的な不利益”を具体的に。
- 「医師があえて抗生物質を出さない」理由
- それは“意地悪”ではなく、“将来必要なときの薬を守るため”であること。
3-1. 妊婦が特に注意すべき理由
- 母体だけでなく胎児にも影響しうるため、使える抗生物質に制限がある。
- 尿路感染症・膣内細菌叢の乱れ・破水後感染など、妊娠特有の感染症リスクがある。
- 性感染症(STI)とAMRの問題も関連してくる(淋菌など耐性菌が多い)。
3-2. 妊婦向けに伝えたい“要点”
- 「必要なときには、きちんと抗生物質を使う」ことも重要
- 「薬=悪」ではない。感染を放置するほうが母子ともに危険なこともある。
- 「自己判断で余っている薬を飲まない」「家族の薬を分けてもらわない」
- これはAMRと安全性の両面でNG。
- 海外旅行・海外出身パートナーがいる場合のリスク
- 海外の耐性菌を持ち込む可能性があることを認識
4-1. 現場が直面している具体的なリスク
- 褥瘡・尿路感染・誤嚥性肺炎などが“慢性的に続く”環境
- 抗生物質使用歴の多い入所者が集まっているため、 耐性菌が施設内に“常駐”しやすい。
- ひとりの入所者の耐性菌が、 職員の手指・器具・環境を通じて全体に広がる可能性。
4-2. 介護職・職員に“必ず押さえてほしい”ポイント
- 「抗生物質を“お願いする”前に、まず感染対策」
- 手指衛生、排泄物・体液の適切な取り扱い、口腔ケアなどで、 抗生物質が必要になる感染症そのものを減らせる。
- 「同じ利用者に何度も抗生物質が出ている状況」の意味
- その利用者自身が耐性菌の温床になりうること。
- 結果的に、施設全体のリスクになること。
- 「指示外の抗生物質使用はしない」
- 点眼薬・軟膏・残薬なども含めて、職員の判断で使い回さない。
- アウトブレイク時の“耐性菌”の可能性
- 同じ菌種で何度も発生する、治療してもなかなか良くならない場合は、 耐性菌の可能性がある → 早めに医療機関・感染管理担当者に相談する重要性。
- 畜産現場での大量投与
- 不必要な処方だが、“なんとなく”求める患者側の意識
- 規制がゆるい国での“抗菌薬のコンビニ化”
- 余った抗菌薬をとっておいて、自己判断で使う家庭内の文化
- 「世界で生まれた耐性菌は、日本にも必ずやってくる」
- 食品輸入・旅行・クルーズ・留学生などを例に、イメージしやすくする。
- 「だからこそ、私たちが“ここで”できることがある」
- 抗生物質を必要なときに、必要なだけ、正しく使う。


