ニパウイルスに、インド東部(西ベンガル州)の2人が感染したが、WHO(世界保健機関)は「感染拡大のリスクは低い」として、「渡航制限は必要ない」という見解を示しました(昨日のNHK News)。
ニパウイルスは高病原性
ニパウイルスは極めて病原性の高いウイルス(致死率は75%)であるが、ワクチンや治療法はありません。このウイルスはコウモリが自然宿主で症状がない状態で感染しています。
ニパウイルスの発見はマレーシアの養豚場から
このウイルス発見の最初は、1998年末から1999年にかけてマレーシアで初めて確認された新興人獣共通感染症の原因ウイルスとして確認されています。このアウトブレークは、自然宿主であるオオコウモリ(フルーツコウモリという命名から、フルーツが主食の大型のコウモリと思われ、ほとんど症状が見られず、共存状態にあると考えられる)から、1998年9月ごろにマレーシア北部(ペラ州イポー近郊)の養豚場(住宅地から離れた、山間部や農村地帯に分散して配置されている)のブタが感染したと考えられています。感染ブタには激しい発赤や神経症状が発生しました。このウイルスに感染したブタから、さらに人にもうつり、感染した人には深刻な脳炎や呼吸器症状がみられました。その後、マレーシア全土に広がり、シンガポールにも感染拡大しました。マレーシアおよびシンガポールで265名の脳炎患者が発生し、105名が死亡しました。このウイルス根絶のために約110万頭のブタが殺処分され、マレーシアの養豚産業は壊滅的な打撃を受けました。この処置により、1999年5月以降、マレーシアでは新規の発生は報告されていません。
1999年3月に最初のウイルスが分離され、ニパウイルスと命名
ウイルス分離はこのウイルスは、マレーシアと米国の科学者が共同でウイルスの性状解析を行い、1999年3月18日にCDC(米疾病探索センター)は、分離ウイルスが1994年にオーストラリアのブリスベーンで最初に分離された、パラミクソウイルスであるヘンドラウイルスに非常に近縁であることを発表しました。ウイルス分離源となった人が死亡した地域、マレーシアのネゲリ・センビラン州のスンガイ・ニパSungai Nipah村の名前をとって、この分離ウイルスは1999年4月10日にニパウイルスと正式に命名されました。
ニパウイルス実験はBSL4実験施設
このウイルスを扱うための実験室はBSL4(バイオセイフティーレベル4;エボラウイルスなど、極めて危険度の高い病原体を扱う、最高レベルの安全対策が採られた研究施設)とされ、日本では国立感染症研究所(村山庁舎)と長崎大学(2025年1月に新たに指定)でしか扱うことができません。


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