話題の劇症型溶血性レンサ球菌(劇症型溶連菌)感染症

細菌感染症

話題になっている劇症型溶血性レンサ球菌(メディアでは「人食いバクテリア」と呼ばれている)感染症に対して、劇症型ではない、一般的な溶連菌感染症は子どもの間で広がっており、症状は咽頭炎である。「警報レベル」と注意喚起がしばしば呼びかけられている。溶連菌の強毒型とか弱毒型があるわけではなく、感染する人の健康状態の違いに依っていると考えられる。

子どもの溶連菌感染症が流行ると、劇症型の感染症患者数も増える傾向が見られるようなので、病原体となる細菌の型などが関係していないと考えられているが、劇症型に関してはまだ解明されていない部分があり、細菌側要因が全くないというわけではなさそうで、基本的には溶連菌の強毒型とか弱毒型があるというよりは、感染する側の人の健康状態の違いに依っていると考えられる。




最初は、1987年に米国で報告された感染症で、日本では1992年に初めての典型的な症例が報告された。細菌の感染症なので、抗菌薬が効く。

子どもの間では、飛沫で広がるので手洗いやうがいが効果的である。したがって、保育園や託児所で子ども同士で遊んでいる間に広がりやすいことから、手洗いやうがいを徹底させることが重要ということになっているが、この点を徹底することはかなり難しいと思われる。

新型コロナでも初期のころには、基礎疾患・糖尿病・がんを患った患者、また高齢者など、免疫の力(からだの抵抗力)が落ちている人に共通して重症例が多かったことを思い出す。この細菌感染症でもこのような人たちは小さな傷口からでも感染し、数日という短い期間で命に係わる重症に陥ったり、手足を切断するような劇症型になる例も多いようである。見た目では大したことがなさそうでも、異常な痛み(四肢の疼痛)を感じたり、インフルエンザのような発熱や悪寒症状もみられる場合がある。

以上の子供や大人の溶連菌感染症はA群に分類されるもので、ほかにB群と呼ばれる溶連菌もある。こちらは、女性の膣・産道・肛門付近に保菌状態(多くは無症状)にある場合が認められ、出産時に新生児が産道感染を起こし、肺炎などの重症例を起こす可能性がある。

タイトルとURLをコピーしました